Visual C# 2013とは

 VC#2013は「Visual C# 2013」の略です。Visual C#は「ビジュアル・シーシャープ」と読みます。一般的には「VC#(ブイシーシャープ)」と呼ばれます。

 C#はMicrosoft社が2000年に発表した、.NET環境向けのソフトウェアを開発するためのオブジェクト指向プログラミング言語です。さまざまな言語と比較すると、比較的新しい言語です。C言語やC++言語をベースに、Java言語のような記述方法が盛り込まれています。C、C++、Java、VBの良いところを取り入れたような言語となっています。

 次のような特徴があります。

 VC#を使って、Windows上で動かすことができるソフトウェアを簡単に開発することができます。MicrosoftはVC#や他の開発言語を含む開発環境のソフトウェアをVisual Studioという製品名で提供しています。今回使用するVisual C# 2013には次の表のような種類があります。(Visual StudioのEditions)

種類 詳細
Express 評価・学習用の無償版
Professional 個人開発向け
Premium 企業開発向け
Ultimate 全機能を搭載
Test Professional テスター向け
Community Professionalの制限付き

Visual Stdioのエディション

 本テキストで使用している環境は、Visual Studio 2013 Communityです。本テキスト執筆時点では、次のアドレスからダウンロードが可能です。

https://www.microsoft.com/ja-jp/dev/products/community.aspx

 VC#を使ったプログラムはどのように実行されるのでしょうか?C言語の実行スタイルと比較してみましょう。

C言語の開発から実行まで
C言語の開発から実行まで

 C言語などは、コンパイルした環境に依存した実行ファイルが作成されるので、違う環境では実行できなくなります。違う環境で実行する場合は、その環境に合わせたコンパイルを再び行なわなくてはなりません。

 Visual C# 2013(以後、VC#2013)は、 .NET Frameworkプラットフォーム上で動作するアプリケーションを開発することができます。つまり、 .NET Frameworkが動く環境であれば、作成したアプリケーションを動作させることができます。VC#2013における、プログラミングから、実行ファイル作成までの手順と、実行できる環境を図で表わすと次のように表現できます。

VBの開発から実行まで
VBの開発から実行まで

 上の図のような環境はどのように実現されているのでしょうか?VC#2013では、ソースコードをビルド(コンパイル)した時に、中間コード(MSIL:Microsoft Intermediate Language)という形式でファイルが作成されます。そして、実行する際に、 .NET Frameworkの共通言語ランタイム(CLR:Common Language Runtime)がそれを逐一解釈・実行して、ネイティブコード(機械語)に変換されます。なお、共通言語ランタイムで再びコンパイルを行ないますが、この作業を行なうのがJIT(Just In Time)コンパイラといいます。

VC#の開発プロセス
VC#の開発プロセス

 開発者が使用するコンピュータには、開発環境のVisual Studio(VC#)をインストールすると、実行環境も同時にインストールされます。しかし、利用者側のコンピュータには実行環境がインストールされていない可能性もありますので、実行前に確認することが必要です。インストールされていない場合は、開発時に使用した.NET Frameworkのバージョンにあわせた実行環境をインストールします。実行環境は、MicrosoftのWebサイトやWindows Updateによりダウンロードが可能です。 .NET Frameworkのバージョンに関しては、次の節で触れます。

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