クラスとは

 例として、テレビを取り上げてみましょう。テレビはひとりでにできあがったわけではありませんし、無計画に作っているわけでもありません。設計図があって、それを基に製造されています。ひとつの設計図を基に、外観や機能などが同じテレビを何台も作ることができます。オブジェクト指向におけるプログラムの基本も同じです。設計図を作成する作業をはじめに行ないます。それは、クラスを作成することによって行ないます。つまりクラスは、現実の世界で言う設計図のような役割を果たします。

 では、そのクラスはどのように記述するのでしょうか。

クラス定義の書式
class クラス名
{
 各種定義…
}

 まずは、クラスを作成しましょう。

○ プロジェクト

 プロジェクトを作成して確認してみましょう。今回は実行してもまだ何も表示されません。

プロジェクトの種類 コンソール アプリケーション
プロジェクト名 ClassTest

サンプルダウンロード

○ クラス作成

 ソリューションエクスプローラーより、プロジェクト名を右クリックし、「追加(D)」―「クラス(C)...」をクリックします。

クラスを追加する
クラスを追加する

 「新しい項目の追加」より「テンプレート」は「クラス」が選択されているのを確認してください。ファイル名を、作成したいクラス名とします。今回は、「Car」という名前のクラスを作成します。ファイル名を入力し、「追加」ボタンをクリックします。

クラス作成の設定
クラス作成の設定

 すると、クラスが作成されます。

クラスのスケルトン
クラスのスケルトン

 ここまでで、クラスである設計図の単位となるものを作成しました。これから、設計図に具体的な記述をしていくことになります。では、クラスには何を記述するのでしょうか。クラスは、基本的に次のような構成になっています。

クラスの構造
クラスの構造

 ○ フィールド ・・・ テレビで例えるなら、画面の明るさや、画面の濃さなどを表す特徴や属性。プログラムでは、変数で表現される。フィールド変数とも呼ばれる。

 ○ メソッド ・・・ テレビで例えるなら、テレビが持っている機能や操作。プログラムでは、関数で表現される。

 上記のクラス内で定義されるフィールドやメソッドをメンバと呼びます。

フィールド変数定義の書式
データ型 変数名;

メソッド定義の書式
戻り値の型 メソッド名(引数リスト)
{
 処理;
}

 先ほど作成したクラスにメンバを記述しましょう。

○ プログラム

 先ほど作成したクラスにフィールド・メソッドの記述をしましょう。今回は仕様として、車はスピードと燃料残をデータとして持ち、加減速する機能があるものとします。次のプログラムを入力してください。

  1. class Car
  2. {
  3.  //フィールド==========
  4.  public int speed; //スピード情報
  5.  public double gas; //ガソリン情報
  6.  //メソッド==========
  7.  //加速させるメソッド
  8.  public void SpeedUp(int sp)
  9.  {
  10.   //ガソリンを減らす
  11.   this.gas -= sp / 10.0;
  12.   if(this.gas < 0) //ガソリンがマイナスになる場合
  13.   {
  14.    //ガソリンを0に補正し、スピードを増やさない
  15.    this.gas = 0;
  16.   }
  17.   else
  18.   {
  19.    //スピードを増やす
  20.    this.speed += sp;
  21.   }
  22.  }
  23.  //減速させるメソッド
  24.  public void SpeedDown(int sp)
  25.  {
  26.   //スピードを減らす
  27.   this.speed -= sp;
  28.   if(this.speed < 0) //スピードがマイナスになる場合
  29.   {
  30.    //スピードを0に補正する
  31.    this.speed = 0;
  32.   }
  33.  }
  34. }

○ クラス図

○ 解説

 12行目のフィールド変数ではスピード情報を保存します。この変数が0であれば停止している状態、0でなければ動いている状態を表します。13行目のフィールド変数ではガソリンの残量を保存します。加速するとガソリン残量を減らします。

 17行目~31行目は加速するメソッドです。加速は、フィールド変数のスピード情報を増やすことによって表現します。引数で加速するkm数を受け取り、スピード情報に加算します。その際、加速分に応じてガソリン残量を減らします。このメソッド内で指定されている「this」は、自分を指すキーワードです。例えば、「this.speed」とあれば、フィールドのspeedを指し、「this.SpeedUp(1)」とあれば、自分から自分のSpeedUpメソッドを呼び出していることを指します。

 34行目~43行目は減速するメソッドです。減速は、メンバ変数のスピード情報を減らすことによって表現します。引数で減速するkm数を受け取り、スピード情報に減算します。その際、ガソリン残量は減らしません。

 ここまでで、クラスである設計図の記述方法を見てきました。あくまでも設計図のため、このままでは使用することができません。これを基に実物を作る作業が必要です。それに関して次の節で学習します。

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