引数リスト

 関数で処理を行うのに必要なデータを、関数を呼び出す側からもらうためには引数を指定します。その引数を「仮引数」と呼びます。仮引数は実際のデータがあるのではなく、あると仮定して処理を記述することができます。

 一方、関数を呼び出す側は仮引数が定義されている場合は、仮引数に応じたデータを渡す必要があります。そのデータを「実引数」と呼びます。実引数は処理してもらいたい実際のデータを指定します。

 関数を定義するときには引数を指定しないか、指定するかを決めることができます。また、指定する場合、複数指定することができます。複数指定するときはカンマで区切って指定します。

仮引数リストの書式
データ型 変数名
データ型 変数名, データ型 変数名,

 これから、引数を指定するいくつかのパターンを見てみましょう。

■ 仮引数を指定しない

 関数を定義するときに、関数を呼び出す側からデータをもらう必要のない場合は、仮引数リストは指定しません。

○ プロジェクト

 プロジェクトを作成して確認してみましょう。実行するとコンソールに結果が表示されます。

プロジェクトの種類 コンソール アプリケーション
プロジェクト名 FunctionTest1

サンプルダウンロード

○ プログラム

 次のようにプログラムを入力してください。

  1. class Program
  2. {
  3.  //入力したデータを表示する関数
  4.  static void ShowData()
  5.  {
  6.   //データを入力
  7.   Console.Write("表示したいデータを入力してください:");
  8.   string inputdata = Console.ReadLine();
  9.   //入力したデータを表示
  10.   Console.WriteLine("入力したデータは「{0}」です。", inputdata);
  11.  }
  12.  static void Main(string[] args)
  13.  {
  14.   //関数の呼び出し
  15.   ShowData();
  16.   Console.ReadLine();
  17.  }
  18. }

○ フローチャート

○ 実行結果

表示したいデータを入力してください:りんご
入力したデータは「りんご」です。

○ 解説

12~20行目で関数を定義しています。この関数は呼び出されると、キーボードからデータの入力をして、入力したデータを表示します。12行目の関数の定義で「static」というキーワードがついていますが、詳しくは別に説明します。

 22~27行目ではMain関数を定義しています。この関数はプロジェクトを作成した時にすでにできていました。C#では実行時にこの関数を呼び出します。そのため、Main関数内にかかれている処理が順番に実行されます。

 25行目ではShowData関数を呼び出しています。ShowData関数は仮引数が指定されていないので、呼び出す側でも実引数を指定しません。指定するとエラーになります。

■ 仮引数を1つ指定する

 関数の定義で1つ仮引数を指定する方法と、それを呼び出す方法を確認しましょう。

○ プロジェクト

 プロジェクトを作成して確認してみましょう。実行するとコンソールに結果が表示されます。

プロジェクトの種類 コンソール アプリケーション
プロジェクト名 FunctionTest2

サンプルダウンロード

○ プログラム

 次のようにプログラムを入力してください。

  1. class Program
  2. {
  3.  //指定されたしたデータを表示する関数
  4.  static void ShowData(string data)
  5.  {
  6.   //指定したデータを表示
  7.   Console.WriteLine("指定されたデータは「{0}」です。", data);
  8.  }
  9.  static void Main(string[] args)
  10.  {
  11.   //データを入力
  12.   Console.Write("表示したいデータを入力してください:");
  13.   string inputdata = Console.ReadLine();
  14.   //関数の呼び出し
  15.   ShowData(inputdata);
  16.   Console.ReadLine();
  17.  }
  18. }

○ フローチャート

○ 実行結果

表示したいデータを入力してください:みかん
入力したデータは「みかん」です。

○ 解説

 12~16行目で関数を定義しています。この関数は仮引数を一つ用意しています。文字列型の変数が宣言されているので、文字列を受け取る前提で処理が行われます。15行目で渡された文字列を表示しています。

 18~27行目ではMain関数を定義しています。「FunctionTest1」プロジェクトと比べると、今回はMain関数でキーボード入力をしています。25行目でShowData関数を呼び出していますが、その時にキーボードから入力したデータを実引数に指定しています。文字列を実引数に指定しないとエラーになります。

■ 仮引数を複数指定する

 関数の定義で複数仮引数を指定する方法と、それを呼び出す方法を確認しましょう。今回は2つの引数を扱います。

○ プロジェクト

 プロジェクトを作成して確認してみましょう。実行するとコンソールに結果が表示されます。

プロジェクトの種類 コンソール アプリケーション
プロジェクト名 FunctionTest3

サンプルダウンロード

○ プログラム

 次のようにプログラムを入力してください。

  1. class Program
  2. {
  3.  //指定されたしたデータを表示する関数
  4.  static void ShowData(string data, int count)
  5.  {
  6.   //指定した回数ループ
  7.   for (var i = 0; i < count; i++)
  8.   {
  9.    //指定したデータを表示
  10.    Console.WriteLine("指定されたデータは「{0}」です。", data);
  11.   }
  12.  }
  13.  static void Main(string[] args)
  14.  {
  15.   //データを入力
  16.   Console.Write("表示したいデータを入力してください:");
  17.   string inputdata = Console.ReadLine();
  18.   //回数を入力
  19.   Console.Write("表示したい回数を入力してください:");
  20.   int countdata = Int32.Parse(Console.ReadLine());
  21.   //関数の呼び出し
  22.   ShowData(inputdata, countdata);
  23.   Console.ReadLine();
  24.  }
  25. }

○ フローチャート

○ 実行結果

表示したいデータを入力してください:ばなな
表示したい回数を入力してください:5
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。

○ 解説

 12~20行目で関数を定義しています。この関数は仮引数を二つ用意しています。文字列と整数値を受け取ります。15行目から受け取った整数値分だけ繰り返して、受け取った文字列を表示します。

 今回はMain関数で表示したい文字列と、繰り返したい回数を入力しています。ShowData関数を呼び出す時に表示したいデータと、表示する回数を渡しています。この二つを渡さないとエラーになります。

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