匿名メソッド

　前節で、デリゲートを指定するときに名前付きのメソッドを定義していました。C#2.0以降では匿名メソッドが導入されました。匿名メソッドは名前を持たないメソッドで、処理の部分のみを定義します。処理内容を一時的に用意する場合に利用します。

　デリゲートで匿名メソッドを次のように定義します。

匿名メソッドの定義
delegate(引数リスト)
{
　処理の定義
};

　匿名メソッドでは引数がない場合は「()」を省略することもできます。

○　プロジェクト

　プロジェクトを作成して確認してみましょう。

プロジェクトの種類 コンソール アプリケーション
プロジェクト名 AnonymousTest

サンプルダウンロード

○　作成の準備

　「DelegateTest」プロジェクトを修正して作成しましょう。DelegateTestフォルダーをコピーして、作成するプロジェクト名にフォルダー名を変更してください。

○　プログラム

　定義した加算・減算メソッドを削除して、次のように修正してください。

Program.cs

  1. class Program
  2. {
  3. 　//デリゲート型の宣言
  4. 　public delegate void Calc(int num1, int num2);
  6. 　//計算機メソッドの定義
  7. 　public static void Calculation(Calc calc, int num1, int num2)
  8. 　{
  9. 　　Console.WriteLine("計算を開始します。。。");
  10. 　　calc(num1, num2);
  11. 　　Console.WriteLine();
  12. 　}
  14. 　static void Main(string[] args)
  15. 　{
  16. 　　//デリゲート型の変数を宣言
  17. 　　Calc calc;
  19. 　　//計算用の変数を宣言
  20. 　　int data1, data2;
  22. 　　while (true)
  23. 　　{
  24. 　　　//メニューを表示
  25. 　　　Console.Write("1)加算　2)減算　9)両方　その他)終了：");
  26. 　　　string menunum = Console.ReadLine();
  28. 　　　try
  29. 　　　{
  30. 　　　　if (!(menunum == "1" || menunum == "2" || menunum == "9"))
  31. 　　　　{
  32. 　　　　　return;
  33. 　　　　}
  35. 　　　　//2つの数字を入力
  36. 　　　　Console.Write("1つ目のデータ：");
  37. 　　　　data1 = Int32.Parse(Console.ReadLine());
  38. 　　　　Console.Write("2つ目のデータ：");
  39. 　　　　data2 = Int32.Parse(Console.ReadLine());
  41. 　　　　switch(menunum)
  42. 　　　　{
  43. 　　　　　case "1":
  44. 　　　　　　//加算メソッドをデリゲートにセット
  45. 　　　　　　calc = delegate(int dt1, int dt2)
  46. 　　　　　　{
  47. 　　　　　　　Console.WriteLine("足し算の結果は" + (dt1 + dt2) + "です。");
  48. 　　　　　　};
  49. 　　　　　　break;
  50. 　　　　　case "2":
  51. 　　　　　　//減算メソッドをデリゲートにセット
  52. 　　　　　　calc = delegate(int dt1, int dt2)
  53. 　　　　　　{
  54. 　　　　　　　Console.WriteLine("引き算の結果は" + (dt1 - dt2) + "です。");
  55. 　　　　　　};
  56. 　　　　　　break;
  57. 　　　　　case "9":
  58. 　　　　　　//加算・減算メソッドをデリゲートにセット
  59. 　　　　　　calc = delegate(int dt1, int dt2)
  60. 　　　　　　{
  61. 　　　　　　　Console.WriteLine("足し算の結果は" + (dt1 + dt2) + "です。");
  62. 　　　　　　};
  63. 　　　　　　calc += delegate(int dt1, int dt2)
  64. 　　　　　　{
  65. 　　　　　　　Console.WriteLine("引き算の結果は" + (dt1 - dt2) + "です。");
  66. 　　　　　　};
  67. 　　　　　　break;
  68. 　　　　　default:
  69. 　　　　　　return;
  70. 　　　　}
  72. 　　　　//計算機メソッドを実行
  73. 　　　　Calculation(calc, data1, data2);
  74. 　　　}
  75. 　　　catch(Exception e)
  76. 　　　{
  77. 　　　　Console.WriteLine(e.Message);
  78. 　　　}
  79. 　　}
  80. 　}
  81. }

○　解説

　53~56、60~63、67~74行目で匿名メソッドを指定しています。ブロック内に処理を直接書くことで、名前のないメソッドを指定し、デリゲートに登録しています。

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