引数リスト

　関数で処理を行うのに必要なデータを、関数を呼び出す側からもらうためには引数を指定します。その引数を「仮引数」と呼びます。仮引数は実際のデータがあるのではなく、あると仮定して処理を記述することができます。

　一方、関数を呼び出す側は仮引数が定義されている場合は、仮引数に応じたデータを渡す必要があります。そのデータを「実引数」と呼びます。実引数は処理してもらいたい実際のデータを指定します。

　関数を定義するときには引数を指定しないか、指定するかを決めることができます。また、指定する場合、複数指定することができます。複数指定するときはカンマで区切って指定します。

仮引数リストの書式
データ型　変数名
データ型　変数名,　データ型　変数名, …

　これから、引数を指定するいくつかのパターンを見てみましょう。

■　仮引数を指定しない

　関数を定義するときに、関数を呼び出す側からデータをもらう必要のない場合は、仮引数リストには「void」を指定します。

○　ファイル

　次のようにファイルを作成してください。

ファイル名 functionTest1.c

サンプルダウンロード

○　プログラム

　次のようにプログラムを入力してください。

  1. #include <stdio.h>
  3. //入力したデータを表示する関数
  4. void showData(void){
  5. 　char inputdata[100];
  7. 　//データを入力
  8. 　printf("表示したいデータを入力してください:");
  9. 　scanf("%s", inputdata);
  11. 　//入力したデータを表示
  12. 　printf("入力したデータは「%s」です。", inputdata);
  13. }
  15. int main(void){
  16. 　//関数の呼び出し
  17. 　showData();
  19. 　return 0;
  20. }

○　フローチャート


○　実行結果

表示したいデータを入力してください：りんご
入力したデータは「りんご」です。

○　解説

　4~13行目で関数を定義しています。この関数は呼び出されると、キーボードからデータの入力をして、入力したデータを表示します。

　15~20行目ではmain関数を定義しています。C言語では実行時にこの関数を呼び出します。そのため、main関数内に記述されている処理が順番に実行されます。

　17行目ではshowData関数を呼び出しています。showData関数は仮引数が指定されていないので、呼び出す側でも実引数を指定しません。

■　仮引数を1つ指定する

　関数の定義で1つ仮引数を指定する方法と、それを呼び出す方法を確認しましょう。

○　ファイル

　次のようにファイルを作成してください。

ファイル名 functionTest2.c

サンプルダウンロード

○　プログラム

　次のようにプログラムを入力してください。

  1. #include <stdio.h>
  3. //指定されたデータを表示する関数
  4. void showData(char data[]){
  5. 　//指定したデータを表示
  6. 　printf("指定されたデータは「%s」です。", data);
  7. }
  9. int main(void){
  10. 　char inputdata[100];
  12. 　//データを入力
  13. 　printf("表示したいデータを入力してください:");
  14. 　scanf("%s", inputdata);
  16. 　//関数の呼び出し
  17. 　showData(inputdata);
  19. 　return 0;
  20. }

○ フローチャート


○　実行結果

表示したいデータを入力してください：みかん
入力したデータは「みかん」です。

○　解説

　4~7行目で関数を定義しています。この関数は仮引数を一つ用意しています。文字型の配列が宣言されているので、文字列を受け取る前提で処理が行われます。6行目で渡された文字列を表示しています。

　9~20行目ではmain関数を定義しています。「functionTest1」プロジェクトと比べると、今回はmain関数でキーボード入力をしています。17行目でshowData関数を呼び出していますが、その時にキーボードから入力したデータを実引数に指定しています。文字列を実引数に指定しないとエラーになります。

■　仮引数を複数指定する

　関数の定義で複数仮引数を指定する方法と、それを呼び出す方法を確認しましょう。今回は2つの引数を扱います。

○　ファイル

　次のようにファイルを作成してください。

ファイル名 functionTest3.c

サンプルダウンロード

○　プログラム

　次のようにプログラムを入力してください。

  1. #include <stdio.h>
  3. //指定されたデータを表示する関数
  4. void showData(char data[], int count){
  5. 　//指定した回数ループ
  6. 　for(int i=0; i<count; i++){
  7. 　　//指定したデータを表示
  8. 　　printf("指定されたデータは「%s」です。¥n", data);
  9. 　}
  10. }
  12. int main(void){
  13. 　char inputdata[100];
  14. 　int countdata;
  16. 　//データを入力
  17. 　printf("表示したいデータを入力してください:");
  18. 　scanf("%s", inputdata);
  20. 　//回数を入力
  21. 　printf("表示したい回数を入力してください:");
  22. 　scanf("%d", &countdata);
  24. 　//関数の呼び出し
  25. 　showData(inputdata, countdata);
  27. 　return 0;
  28. }

○　フローチャート


○　実行結果

表示したいデータを入力してください：ばなな
表示したい回数を入力してください：5
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。
指定されたデータは「ばなな」です。

○　解説

　4~10行目で関数を定義しています。この関数は仮引数を二つ用意しています。文字列と整数値を受け取ります。6行目から受け取った整数値分だけ繰り返して、受け取った文字列を表示します。

　今回はmain関数で表示したい文字列と、繰り返したい回数を入力しています。showData関数を呼び出す時に表示したいデータと、表示する回数を渡しています。この二つを渡さないとエラーになります。

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