VB2010は「Visual Basic 2010」の略です。Visual Basicは「ビジュアル・ベーシック」と読みます。一般的には「VB(ブイビー)、VB.NET(ブイビードットネット)」と呼ばれます。
VBは次のように発展してきました。
VBを使って、Windows上で動かすことができるソフトウェアを簡単に開発することができます。MicrosoftはVBや他の開発言語を含む開発環境のソフトウェアをVisual Studioという製品名で提供しています。今回使用するVisual Basic 2010には次の表のような種類があります。(Visual StudioのEditions)
種類 | 詳細 |
---|---|
Express | 評価・学習用の無償版 |
Professional | 個人開発向け |
Premium | 企業開発向け |
Ultimate | 全機能を搭載 |
Test Professional | テスター向け |
本テキストで使用している環境は、Visual Basic 2010 Expressです。本テキスト執筆時点では、次のアドレスからダウンロードが可能です。
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/express/
VBを使ったプログラムはどのように実行されるのでしょうか?C言語の実行スタイルと比較してみましょう。
C言語などは、コンパイルした環境に依存した実行ファイルが作成されるので、違う環境では実行できなくなります。違う環境で実行する場合は、その環境に合わせたコンパイルを再び行なわなくてはなりません。
Visual Basic 2010(以後、VB)は、 .NET Frameworkプラットフォーム上で動作するアプリケーションを開発することができます。つまり、 .NET Frameworkが動く環境であれば、作成したアプリケーションを動作させることができます。VBにおける、プログラミングから、実行ファイル作成までの手順と、実行できる環境を図で表わすと次のように表現できます。
上の図のような環境はどのように実現されているのでしょうか?VBでは、ソースコードをビルド(コンパイル)した時に、中間コード(MSIL:Microsoft Intermediate Language)という形式でファイルが作成されます。そして、実行する際に、 .NET Frameworkの共通言語ランタイム(CLR:Common Language Runtime)がそれを逐一解釈・実行して、ネイティブコード(機械語)に変換されます。なお、共通言語ランタイムで再びコンパイルを行ないますが、この作業を行なうのがJIT(Just In Time)コンパイラといいます。
開発者が使用するコンピュータには、開発環境のVisual Studio(VB)をインストールすると、実行環境も同時にインストールされます。しかし、利用者側のコンピュータには実行環境がインストールされていない可能性もありますので、実行前に確認することが必要です。インストールされていない場合は、開発時に使用した.NET Frameworkのバージョンにあわせた実行環境をインストールします。実行環境は、MicrosoftのWebサイトやWindows Updateによりダウンロードが可能です。 .NET Frameworkのバージョンに関しては、次の節で触れます。